ベトナムレポート

メンバーの方から下記のメールをいただきました。
転載の許可をいただきましたので、長文ですが興味のある方はご覧下さい。
室舘代表
実は、先日にベトナムへ行ってまいりました。
代表もスタディーツアーに行かれており、実際にどんな国かと楽しみに行ってまいりましたが、
現地で見聞きしたことで、代表やメンバーさんに是非ご共有できればというお話がございましたので、メールを送らせていただきました。
何か少しでも、メンバーさんや代表のご参考になるお話があれば幸いでございます。
また、長文となってしまい恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げます。
【ベトナム訪問を通して感じたこと】
1. ベトナムの歴史教育の基本的な考え方に、とても感銘をうけました
・ベトナムの歴史教育の基本方針は、
「子供たちに歴史はきちんと教えるが、戦争は過去のこと。敵対した国とも過去のことは水に流して、友好関係を結ぼうと教えている」
とのことです。
実際に、ホーチミンでは土曜日には歴史教育の一環でベトナム戦争関連施設を小中学生が訪問して勉強していましたし、よく実施されているとのことです。
一方で、ベトナム戦争時の敵国であったアメリカ人の訪問も多く、ベトナム戦争博物館でもアメリカ人らしき観光客が多くいました。
また、町の中でも白人観光客に対して、ぶっきら棒に扱うようなところも全くありませんでした。
(ベトナム人には、親米のひとも多いそうです)
⇒同じ社会主義国でも、中国とはまったく異なる教育方針であることにまず驚きました。
⇒また、ベトナム戦争含め、つい最近まで(1989年)戦争をしていた国が、戦争経験を変に引きずることなく前を向いて発展しようとしている姿に、
 日本が、他国からいちゃもんをつけられて、右往左往している姿と比べて、学ぶべきことが多いと思います。
⇒国が発展するために、過去どういうことがあって今のベトナムがあるのか、はきちんと教えるが、
将来を考えたときに、これから発展するベトナムにとって、過去にとらわれることが必ずしもいいことではないと、
本当によく考えて、教育をしているのだと感じました。
2. ODAや技術支援はこれからの日本が世界に貢献できる分野であり、今後の日本にとって間違いなく重要な外交手段にもなる
Oホーチミンでの大河にかかっている橋や、ハノイの空港から市内への道路など、日本からのODAによって整備されたインフラが、いろんなところに存在し、
間違いなくベトナムの発展に日本が貢献できている、ということを実感しました。
Oそして、現地の方が、「あの橋は日本のおかげで作ることができたんだよ」と嬉しそうに話して下さることが何よりうれしかったです。
(単に日本人相手だったからそういう会話になっただけかもしれませんが)
※ただし、日本の建設会社が手掛けていた橋が建設中に崩れて死人が出るという事故もあったようです。
Oこれから開発が進む国では、間違いなく日本の技術が必要とされますし、金銭的支援と技術的支援は、間違いなく日本ができる重要な外交手段になりますし、
今後世界の中で力を持ってくる国々への支援は非常に重要になると感じました。
(特に日本は地震大国という背景もあって、生活インフラを作る技術(建築、電気・ガス・水道、鉄道など)は非常に魅力的な輸出品などだと感じました)
3. 一番強力な外交は日本や日本人のファンになってもらうこと
Oひとつ目に、その国を訪問する日本人が、礼儀正しく、現地の人から見て、付き合っていきたいと思っていただけるようなお客であること
O二つ目に、親日国家からもっと留学生を呼ぶことも今後より重要になってくる
2日本で学びながら日本のファンになってもらう
 (実際にアメリカのMBAなどは、大学を人脈の中心として卒業生同士の結びつきも強いそうです。)
・特に政治家や国策企業のトップになるようなエリート層に親日でいてもらうことは、長い目で見て日本と良好な関係維持に非常に有用だと思いました。
4. 日本人はもっと勉強して、もっと世界で戦えるようにならないと、すぐに抜かれてしまう。
Oベトナムの国全体の平均年齢は26歳で、日本の43歳と比較すると圧倒的に若い、そんなエネルギーの有り余っているひとが国の中心
2勉強もよくし、エリート層でなくても英語が話せるようなレベル
O加えて、みんな商売上手、多少断られたぐらいではへこまない。
 -観光客相手以外のお店でも、みんな商売上手でがめついぐらいでした。
O加えて、アンケートでは98%のひとが「ベトナムの将来は今よりよくなる」と答えている
 -日本の若者に対して、同様のアンケートをした際には、「日本の未来が明るくなる」と答えた人は9.1%のみ、逆に「暗くなる」と答えたのは43%(マクロミル調査)
 -日本と比べても、98%ものひとが国の将来に希望を持っていれば当然結果も違ってくると感じました。
【今後私自身がやっていきたいこと】
・諸外国を回って、日本や日本人がどう見られているのか、日本が今後どういう役割を世界の中で担っていけばいいのか、現地の方の話を聞きながら考えたい
 -東南アジア:シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンなど
 -欧州:ドイツ、フランスなど⇒先進国からみて日本はどう見られているのか?
・将来的には、①日本の技術力を育てる事業と、②日本の技術を海外に輸出していく事業、をやっていきたい
 -①技術を育てるためのお金を集めて、提供していくような金融機関的な事業
 -②相手国の状況ごとに必要な技術や育て方を考えて、提案していくような事業
【最後に】
ベトナムの話からは離れてしまいますが、私自身が「本当にこうありたい、日本をこういう国にしていきたい」と強く感じた演説があります。
麻生前首相の総理大臣就任所信表明演説の冒頭部分です。
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2008/09/29housin.html
—以下転載-----
日本は、強くあらねばなりません。強い日本とは、難局に臨んで動じず、むしろこれを好機として、一層の飛躍を成し遂げる国であります。
日本は、明るくなければなりません。幕末、わが国を訪れた外国人という外国人が、驚嘆とともに書きつけた記録の数々を通じて、わたしども日本人とは、決して豊かでないにもかかわらず、実によく笑い、微笑む国民だったことを知っています。この性質は、今に脈々受け継がれているはずであります。蘇らせなくてはなりません。
(中略)
わたしは、悲観しません。
わたしは、日本と日本人の底力に、一点の疑問も抱いたことがありません。時代は、内外の政治と経済において、その変化に奔流の勢いを呈するがごとくであります。しかし、わたしは、変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力を、どこまでも信じて疑いません。
麻生太郎(平成20年9月29日「首相所信表明演説」より)
—以上—
特に、冒頭の「日本は強くあらねばなりません」、「日本は明るくなければなりません」というくだりには、ネット中継でこの演説を聞いたときにとても勇気をもらったことを覚えています。
もともと、歴史教育に疑問を持ち、実際に自分の目で確かめようと行動できるようになったのは、室舘塾1期生で学ばせていただいたことが大きなきっかけです。
そこから、安全保障や国護り、戦前の偉人について、矢野先生や酒井先生、高森先生にお教えいただいたり、ペマ先生の書籍を拝読したり、他国の方のお話を聞いたり、いろいろ学ぶ中で、
そもそも日本に誇りを持つということはどういうことなのかとても考えさせられました。
国に誇りを持つとは、今ネット上の一部でのいきすぎた愛国主義のような「日本が一番!ほかの国なんて大したことない!」なんていう自己中心的なものでは決してなく、
日本の、周りを手助けすることが自分の喜びになる国民性に誇りを持ち、誇りに背くことなく、日本や日本人が持てる強みを活かして、世界の平和に貢献していくことだと思います。
そのためにも、大きな話であれば、日本が世界にどう貢献できるのかを考え、もっと個人に落とせば、常々代表がおっしゃられている、「与えること」が本当に重要なのだと、ここ最近特に感じています。
そして、国レベルでは、日本が他国へ貢献していくことを通じて、「日本がいなければ困る」という状況になることが安全保障にもつながるのだと思います。
以上、長文となってしまい大変失礼いたしました。
また、今年も時間を見つけては、東南アジアやヨーロッパに出かけて現地の方のお話を聞いていきたいと思います。
(早速、今日本にいる台湾人の友人の誘いで、年末に台湾に行くこととなりました)
お読みくださり、ありがとうございました。


ベトナムレポート」への1件のフィードバック

  1. 私もこの麻生前総理の演説好きです。
    懐かしさと共に読みました。
    これを切り貼り編集で伝えていた日本マスコミの馬鹿さ加減も思い出します。
    ODAのこと等、国内の報道だけでは知らないことが多すぎますね。

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