学生諸君、採用側は命懸け

これは、しがく新聞12月号のコラムです。

◆リード:
御社で学ぶ学生はなぜ育つのですか、なぜちゃんとしているのですか、どういうことを学生に話して育てているのですかと、多くの経営者の皆様に聞かれる。一回二時間の就職塾の内容を一枚の紙面で表すのは難しいが、九段下に来られない学生のためにも、ここ最近どういうことを学生に話しているか、ヒントになればと思い紹介させていただく。

◆本文:
この時期に就職先が決まっていない大学四年生は本当に心から焦っている。今年は十月の段階で約四割弱が決まっていないそうだ。私達の所に来る学生も、四、五十社受けたというのは珍しくない。それでもめげずに九段下まで、何かヒントを掴もうと訪れる学生には敬意を表したい。
病気に例えると、私生活に原因があることも多い。病気を治すことも大切だが、病気にならないように私生活を変えることがより大切である。就職活動も病気と同じで、根本的に何かを変えないから落ち続ける。
人事部の人がどういう気持ちで採用をしているか分かっているだろうか。採用した人が会社で役に立たなければ採用の失敗。失敗が続けば、採用担当者は評価が下がっていくのは容易に想像できる。そんなのは誰だって望まない。少しでも昇給や昇格したいのは当然だ。子供の教育費や家のローンがあればなおさらだ。採用側は命懸けなのだ。面接で背伸びをして上辺だけ取り繕ったところで全てを見抜いている。採用されないのは至極当然のことである。
経営者の視点で言えば、良い人ならいつでも採用したいのが本音だ。良い人とは成長する人だ。君は入社して一、二年後に成長すると思われているだろうか。成長する人とは、一生懸命に頑張る素直な人だ。君は人が見ていないところでも一生懸命に頑張っているだろうか。それを腹の底から自信を持って面接で言えたなら、採用の確率はかなり高くなる。
自信を持つために今日からでよいので、ゴミ拾い、トイレ掃除など、誰も見ていなくても人の為に頑張りなさい。自信はつけてもらうのではなく、自分の行動の中から掴み取り、内側から湧き出てくるものだ。 そうやって少しでも誇らしい自分を作りなさい。一週間でも十日でも続けて、次の面接の際には「変わろうと思って、十日前からやっています!」と正直に言いなさい。

一月にもなれば多くの学生が「三月三十一日までに就職が決まらなかったらどうしよう」と考え始める。たとえ就職が決まらなくても、絶対に就職浪人だけはしないほうが良い。派遣、契約社員、アルバイトでもよい。ご縁のあったところで働き、どんな形でも社会に出なさい。正社員で社会人生活をスタートするだけが全てではない。
巨人の山口投手や松本選手は育成選手としてスタートし、二軍での厳しい競争を勝ち抜きレギュラーの座を得たのだ。牛丼の吉野家の阿部社長はアルバイトで入社してそこから社長になったのだ。自分の直感を信じて、ご縁を頂いたところにお世話になり、目の前にある仕事を一生懸命に頑張り、人の為に働きなさい。
いま不安に思う必要はない。何かを学び、何かに気づくために、就職活動が続いているのだ。全ての経験は数年後に武器になる。 明るく元気で素直に「一生懸命に働きます。不器用だけれども成長していきます」という向上心と本気の熱意を持っていけば、自ずと就職先は決まっているだろう。
面接官と勝負するのではなく、自分の心と会話をしなさい。このような感覚を学生に伝えている。

表紙コラム


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です