災害ボランティアに行ったNEXUSのメンバーさんがレポートを出してくれました。
2回に分けて掲載します。
林担当 林 由希菜さん
夜行バスで仙台駅に到着してから電車とバスを乗り継ぎ、まず相馬市に行きました。
そこはまったく人気がなかったので、これが震災の影響かと思ったのですが、福島出身の菅野さんが「もともとこんなもんだよ」と言っていました。確かに、朝の時間帯ですし、田舎なら人気がないのは当然だと思いました。
悲観をあおるメディアの過剰な報道に対する疑問を少し感じました。
相馬のボランティアセンターでは受け入れの170名をこえてしまったため、バスで新地町へ移動し、そこでボランティア活動として浸水してしまった家屋のお掃除をしました。主なお手伝いとして、障子がはがれガラスが割れ木がささくれだった戸の砂やごみを払い落し、布巾でふいてきれいにすることをしました。この戸を、また使って生活されるのだと考えると、心が痛く、心をこめてお掃除しようと思いました。
そのおうちの方々は、つらい状況にもかかわらず私たちにとても気を遣ってくださり、何度も何度も缶のお茶を持って「休憩してね」と声をかけてくださいました。そう言っていただけるとさらに燃えてしまうので、私たちは最後まで精一杯お掃除させていただきました。その家の裏手にまわると一面、がれきが流れ着いていました。
しばらく、ポカンとした気持ちになりました。だだっ広い景色の中に、ひんまがったガードレール、根から抜け流れ着いた木、レコード、CD、布団、車、衣服など、さまざまな生活の一部がみえました。
しかし、もうにおいはそこまで無く、また、車道のがれきは撤去され、車が走れるようになっていました。着実に復興している様子が見て取れました。思ったよりも、現地の方々は元気でした。着々と前に進んでいるのだと感じました。私たちも、できることを着実にやっていかなければと改めて感じる一日となりました。
今回、素晴らしい仲間のおかげで臨機応変に活動することができました。周りの皆にも、ぜひ現地を訪れてほしいと思います。今回この4人の仲間と行けたことを感謝しています。この環境に出会えたことにも改めて感謝いたしました。室舘代表をはじめ、スタッフの方々には、日々火をつけていただき、改めて感謝申し上げます。
木村担当 武藤 瑞歩さん
2011年5月1日。この日は私の人生の中でも忘れられない一日となりました。
3.11の震災にて甚大な被害を受けた福島県に赴き、その光景を自らの目で確かめ、被災した家屋の清掃というボランティア活動を通して様々な事を感じた一日だったからです。
2m程の高さの津波の被害を受けた家屋は、床上浸水し、そこら中に潮のにおいのする砂がまとわりついている状態でした。私たちはその家屋の障子の間仕切りと、サッシの清掃作業を担当しました。割れたガラスや歪んだサッシ、壊れた障子の枠からは津波のすさまじさがひしひし伝わってきました。ほぼ無心で掃除をしていましたが、これが自宅だったらと想像するだけで背筋が凍りつくような思いでした。
中でも一番印象に残っているのは、今回のボランティア活動をした家に住んでいらっしゃるご家族の方々とのお話です。その家にはご高齢のご夫婦が住んでいらして、間一髪のところで津波に流されずに済んだというお話を伺いました。隣の家の方は、数分前まで一緒に話していたのに、残念ながら津波に流されてしまったとのことでした。あたり一面はビニールハウスの農家だったらしいのですが、そんなもの一つも残っておりません。うるんだ瞳で一つ一つ言葉を探すようにして話されていたおじいさんの姿が忘れられません。思い出すたびに胸が締め付けられます。
ただ、私が思ったよりも現地の方々は凛としていて、逆に気を遣っていただいた気さえします。「本当にわざわざ遠いところからありがとう」と言ってくださるだけに値することができたのかは分かりません。正直、自然の力の前に自分の非力さがもどかしくて仕方ありません。しかし、「そんな微力でも必要とされている、まだまだ人手が足りない」のは事実だと感じます。時間を作ってまた現地に赴き、一時的ではなく持続的に手伝う事が、時間と体力のある私たち若者の役目ではないかと心から思っています。
テレビや新聞を通してだけでは決して触れる事の出来ない、現地に流れる独特の空気と人々の「生」を感じさせていただいた事の意味を考え、自分のすべきこと、有るべき姿を自問していきます。