2月15日
これはしがく新聞2月号の巻頭コラムです。
■リード
平成二十三年は皆様にとってどのような年だっただろうか。日本では東日本大震災という未曾有の災害が起こった。世界に目を向けると、トルコ・ニュージーランドの地震、タイ・パキスタンなどの洪水、ユーロ危機、南スーダンの独立、アラブの春など国のあり方を変える大きな動きもあった。このような流れを受けて平成二十四年が始まったのだが、どのように時代を捉えて動けばいいのか。一つの見方を提言したい。
■本文
日本の危機だ!新聞や週刊誌は部数を伸ばすためにセンセーショナルな記事を掲載し、「このままでは大変なことになる」と煽る。テレビ番組も同様だ。国民は、その情報に日夜踊らされ「今年はこうなる、日本はああなる」と盛りあがる。経済誌ではバブル崩壊後の日本を「失われた二十年」として、全く経済成長がなかったと分析している。確かに、長期のデフレ不況から立ち直る事は、世界中を見回しても、歴史を振り返ってみても簡単なことではないことがわかる。ただ、勉強不足の政治家がデフレ脱却を第一とせず、消費税増税、TPP賛成などデフレを長引かせるような政策を推進しているのは由々しき問題だ。
不況により、企業は投資に消極的になり、資金需要も伸びない。国民が将来の増税に備え、消費が減り貯蓄が増えていてはGDPは下がる一方だ。GDPが下がると当然国家予算は減り、防衛費も下がってしまう。震災後は領海・領空が侵犯され、自衛隊のスクランブル発進も前年比で倍増ペースとなっている。中国・ロシアは、今がチャンスと日本の偵察をしている。
もっと身近なところでも気になる事がある。若者や中小企業経営者の発言である。給料や売上が上がらないのを、政治家のせいや景気のせいにしているのだ。私は約二十年前に転職し、自分の夢を叶える為に独力で道を切り開いてきた。当時私が考えていた事は、「今は良いけれど、人間力が無かったら将来リーダーにはなれない」ということだった。だから、必死で本を読み、寸暇を惜しんで仕事に没頭し、家に帰るのが早朝になることも当たり前だった。
会社勤めだった二十代の頃を振り返ると、良い時期でも厳しい時期でも高い評価をいただいた。そんな中、給料が止まったこともあった。では私は、それを時代や景気のせいにしようとしたか。そんなことは考えたこともなかった。給料が止まりながらも、会社から求められている事を求められている以上に、上司の想定を超えることを目標に頑張ってきたのだ。
会社は、景気や年間売上などとは関係なく、正当に私の頑張りを認めてくれた。周りには給料に対して不満を言っている先輩もいた。私は「会社が厳しい時期に目標未達成で、休日ゆっくりしているような人のどこを評価するんだよ。給料が欲しければ、会社の想定を超える成果を持ってこいよ」と思っていたものだ。
当社は、社員百二十名程度の中小企業である。デフレや不景気が言い訳になるほどの大企業ではない。政治は堕落し、経済は落ち込んでいる世の中だが、若者や中小企業の経営者にとっては、たいして関係は無いのである。「言い訳をやめて本気で働け」と言いたい。そうすれば、ものの数ヶ月で変わるはずだ。もし、変わらないのであれば本気さが足りないのだ。上手くいかないのは汗と涙が足らないのだ。弊誌を読まれている全ての方は、強く逞しく生きてもらいたい。その、一人ひとりの頑張りが今の厳しい日本を変えていくのである。






































